「中国製のルーターを使ってるんでしゅけど、バックドアが入ってるって本当でしゅか?」
「ファームウェアの更新もできないって、どうすればいいんでしゅ……」
ふふふ、ハードウェアのサプライチェーンはソフトウェアより対応が難しい。修正版がなければ交換以外の手がない。今回のZbtlinkがその典型だな
買ったばかりのルーターなのに交換でしゅか……高い買い物が無駄になるでしゅ
米セキュリティ企業VulnCheckは2026年8月5日、中国深圳のZhibotong Electronics社が製造するZbtlinkブランドのルーター20機種に、初めから組み込まれたバックドア「ENDLESSDOORS」を発見したと発表しました。
このバックドアはroot権限でシェルコマンドを実行でき、世界で10万台超が中国サーバーに35秒ごとに接触し続けています。ベンダーは現時点で修正版ファームウェアを提供していません。
- Zbtlink(Wiflyer)ブランドのルーター20機種にCVSS 9.3のバックドア「ENDLESSDOORS」が工場出荷時から組み込まれていた
- バックドアはboot時に起動し、ハードコードされた中国サーバーへ暗号化なしで35秒ごとに接触、root権限でシェルコマンドを実行する
- 修正版ファームウェアの提供なし。交換と隔離が唯一の対策
目次
Zbtlinkルーターで何が起きたか
Zbtlinkは中国のShenzhen Zhibotong Electronics(深圳智博通電子)が製造するルーターブランドで、Wiflyer名でも販売されています。
VulnCheckは20種のモデルのファームウェアを解析し、すべてに「kworker」という名前で偽装したバックドアコンポーネントが含まれていることを発見しました。
kworkerって正規のLinuxプロセス名でしゅよね?それに偽装してるんでしゅか?!
そうだ。Linuxユーザーには見慣れた名前でごまかし、正規のプロセスに紛れ込ませる手口だな。これがファームウェアに工場出荷時から含まれていた
ENDLESSDOORS(CVE-2026-66747)の主な動作は以下のとおりです。
- ルーター起動と同時に自動実行(init設定による永続化)
- ハードコードされた中国のC2(コマンド&コントロール)サーバーに暗号化なしのTCPで約35秒ごとに接続
- C2サーバーからroot権限でシェルコマンドを受信・実行
- ネットワーク内部から外向きに通信するため、ファイアウォールをすり抜けやすい
Zbtlinkは開示後に「バックドアではなくデバッグ機能」と当初否定しましたが、ファームウェアのダウンロードを一時停止し、問題の調査を進めると表明しました。
中国製IoTのサプライチェーンリスク
日本の企業もZbtlinkのルーターを使ってるんでしゅか?
Zbtlinkは国内でも販売されており、価格の安い5G・LTEルーターとして選ばれることがある。特に店舗や工事現場での一時的なインターネット接続に使われるケースがあるぞ
ENDLESSDOORSのリスクが特に高い理由は以下のとおりです。
- 修正版ファームウェアが提供されていない(2026年8月時点)
- ファクトリーリセットをしても、バックドアはファームウェアに組み込まれているため消えない
- Wiflyer等の別ブランド名でも販売されており、ユーザーが気づきにくい
- C2通信が平文(暗号化なし)のため、IDS・IPS・ネットワーク監視ツールで検出できる
世界全体で影響を受けるデバイス数はVulnCheckの推定で10万台超。日本を含む世界各地のオフィス・工場・店舗でネットワークに繋がったまま稼働している可能性があります。
まとめ:中国製ルーターの洗い出しと隔離が急務
ENDLESSDOORSは、IoT機器のサプライチェーンリスクが現実の脅威であることを示す事例です。
「安くて性能が良い」ルーターの背後に、出荷時から仕込まれたバックドアがある可能性があることを、組織は認識する必要があります。
修正がないなら交換しかないでしゅよね。でも、まずどうやって調べればいいんでしゅか?
まずは自社ネットワークのルーター機器リストを棚卸しすることだ。ZbtlinkまたはWiflyerのモデル番号がVulnCheckの発表したリストに含まれていたら、即時隔離を検討する
今すぐ取るべき対応は以下のとおりです。
- ネットワーク機器の棚卸しを行い、ZbtlinkまたはWiflyerブランドのルーターを特定
- 対象機器をネットワークから隔離し、業務継続が可能なら代替ルーターに切り替え
- IDSや通信ログで35秒周期の外向きTCP接続がないか確認(ENDLESSDOORS特有のパターン)
- ルーターを廃棄する場合は、設定情報を初期化後に廃棄(C2に残った認証情報のリスク軽減)
- 購入先にベンダーの公式回答・修正版ファームウェアの提供予定を問い合わせ
ハードウェア由来のセキュリティリスクは、ソフトウェアパッチで解決できません。
機器の選定段階から製造国・ベンダーのセキュリティ実績を評価する視点が必要です。