「うちの大学のシステムも狙われるんでしゅか?教務や学生情報が漏れたらどうなるんでしゅ……」
「ゼロデイって、パッチがない状態で攻撃されるってことでしゅよね?防ぎようがないでしゅか?」
ShinyHuntersは今年だけでAbbott Laboratoriesへの侵入やSalesforceデータ大規模盗取など、すでに何度も大型事案を起こしているグループだ。今回は大学・政府機関を標的に選んだな
大学はクレジットカードより価値の高い個人情報(パスポート情報・学籍・健康情報・研究データ)を大量に保有しながら、セキュリティ予算が企業より少ない傾向があります。
ShinyHuntersは2026年5月27日〜6月9日の約2週間、Oracle PeopleSoftのゼロデイ(CVE-2026-35273、CVSS 9.8)を悪用し、100を超える組織に侵害の可能性を通知しました(Mandiant/GTIG調べ)。
- ShinyHuntersがOracle PeopleSoftのゼロデイ(CVE-2026-35273、CVSS 9.8)を悪用、認証不要のRCEで100組織超に侵害通知
- 通知対象100組織超のうち68%が米国の大学。英国ノッティンガム大学では45万5,000件のメールアドレス・パスポート情報等が流出
- Oracleはゼロデイ期間中(5月27日〜6月9日)は対応できず、攻撃後の6月10日に緊急アドバイザリを発行
目次
Oracle PeopleSoftで何が起きたか
Oracle PeopleSoftは大学・政府機関・大企業の人事管理・学籍管理・財務管理に広く使われるERPシステムです。
CVE-2026-35273は、PeopleTools 8.61および8.62に含まれる「Environment Management Hub(PSEMHUB)」コンポーネントの認証なしRCE脆弱性です。
認証なしって、ログインしなくてもサーバーに侵入できるってことでしゅか?!
そうだ。HTTPアクセスだけで攻撃が成立する。/PSEMHUB/hubと/PSIGW/HttpListeningConnectorの2つのエンドポイントが悪用された。これが外部公開されていれば即座に侵害される
Google Mandiantの分析によると、MandiantとGTIGは2026年5月27日から6月9日の活動を確認し、100を超える組織に通知しました。
Oracleがこの問題に気づいて緊急アドバイザリを発行したのは6月10日であり、約2週間が完全なゼロデイ状態だったことになります。
侵害通知を受けた組織の内訳は以下のとおりです。
| 区分 | 詳細 |
|---|
| 通知対象組織数 | 100組織超 |
| 業種の内訳 | 高等教育機関(大学)が68%(大半が米国) |
| 個別被害事例 | 英国ノッティンガム大学:45万5,000件のメールアドレス他 |
| 流出データの種類 | 氏名・住所・電話番号・パスポート番号・人種・障害情報等 |
ShinyHuntersの手口と教育機関が狙われる理由
ShinyHuntersってどんなグループでしゅか?大学ばかり狙ってるんでしゅか?
いや、財務的に動機づけられたグループで、被害組織の種類にこだわりはない。データを盗んで身代金を要求するか、ダークウェブで売るかの二択だ。今回は偶然ゼロデイを入手して、PeopleSoftを使う大学に多くヒットしたということだな
ShinyHuntersが今回の攻撃で目指したことは以下のとおりです。
- CVE-2026-35273でサーバーを完全掌握してデータにアクセス
- 学生・教職員の個人情報(パスポート番号・連絡先・人種・健康情報)を大量収集
- 盗取データを「身代金を払わなければ公開する」と脅迫材料に使用
大学・高等教育機関が狙われやすい背景には以下の理由があります。
- 学籍情報・パスポート情報・研究データなど価値の高いデータを大量保有
- セキュリティ予算が企業に比べて限られる傾向がある
- 外部公開サービス(学生ポータル・図書館システム)が多くアタックサーフェスが広い
- PeopleSoftのような古いERPシステムを長期間使い続ける組織が多い
Oracleは6月10日に緊急アドバイザリを発行し、Environment Management Hubの無効化または外部アクセスのブロックを指示しました。パッチはサポートポータル経由での提供でした。
まとめ:PeopleSoft利用機関は即時エンドポイントを確認を
CVE-2026-35273は教育・行政のDX基盤に深く組み込まれた脆弱性です。
ShinyHuntersによる攻撃活動は2週間で終結しましたが、パッチ未適用のPeopleSoftが残っている環境では、今後も追加の攻撃リスクがあります。
パッチを当てる以外に、まず何を確認すればいいんでしゅか?
真っ先に/PSEMHUB/hubと/PSIGW/HttpListeningConnectorへの外部アクセスをファイアウォールで遮断することだ。次にPeopleSoftのアクセスログを遡り、5月〜6月に不審な接続がなかったか確認する
今すぐ取るべき対応は以下のとおりです。
- Oracle PeopleSoft Enterprise PeopleTools 8.61・8.62を使用しているか確認
- /PSEMHUB/hubと/PSIGW/HttpListeningConnectorへの外部ネットワークアクセスをブロック
- 2026年5月〜6月のアクセスログを確認し、不審なHTTPアクセスや大量データ転送がないか調査
- Oracleサポートポータルでセキュリティパッチを取得して適用
- 学生・教職員情報など個人情報の流出有無を確認し、必要に応じて当局・本人に通知
ERPシステムは組織の中核情報を束ねるため、攻撃者にとって最も価値の高いターゲットです。
パッチ適用だけでなく、外部公開エンドポイントの棚卸しと最小化を定期的に行うことが重要です。