「SAMLの署名って堅牢じゃなかったんでしゅか?」
「一般ユーザの権限でも管理者に化けられるって、本当でしゅか?」
うちの基幹もSAPでしゅ……何を最初に確認すればいいでしゅか?
ふふふ、CVSS 9.9はSAP界隈でも最上位のラインだ。今回は仕組みを正しく理解しないと、緩和策を間違えるぞ。
本記事ではSAP 2026年6月パッチデーの目玉であるCVE-2026-44748の中身と、企業システム部門が直ちに取るべき対応を解説します。
- CVE-2026-44748はSAP NetWeaver AS ABAP / ABAP PlatformのSAML認証に潜むXML署名ラッピング脆弱性、CVSS 9.9
- 影響は古い702〜最新919まで広範、認証済み低権限ユーザがID情報を改ざんし権限昇格・機微データ閲覧が可能
- 6月パッチデーではCVE-2026-27671(RFCメモリ破損)など複数の重大脆弱性も同時修正、ABAP/Java両基盤での即時適用が必要
読み終える頃には、SAP基盤に対する2026年6月の対応計画が組み立てられるようになります。
目次
CVE-2026-44748の中身を読み解く
まずはSAPが6月パッチデーで公表した最重要案件、CVE-2026-44748の本質を整理します。
SAML署名検証の盲点を突くXML Signature Wrapping
CVE-2026-44748は、SAP NetWeaver AS ABAPおよびABAP PlatformのSAML認証で使われる署名XML文書の検証ロジックに残っていた古典的な弱点を突きます。
攻撃者は一般ユーザ権限で正規にログインし、自分宛に発行された署名済みSAMLレスポンスを取得したうえで、署名ブロックを保持したままユーザ識別子などのアサーションを差し替えて再送信します。
検証側が「署名は有効」と判断しつつ実体は別人のIDを受け入れてしまうため、なりすましや権限昇格、機微データへの不正アクセスが成立します。
影響範囲はSAP_BASIS 702から919までと広く、長期運用中の基幹システムほど該当する恐れがあります。
本脆弱性の要点をまとめると以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 識別子 | CVE-2026-44748 |
| CVSS | 9.9(最高クラス) |
| 対象 | SAP NetWeaver AS ABAP / ABAP Platform(SAP_BASIS 702〜919) |
| 攻撃要件 | 有効なアカウントによる認証済みアクセス、低権限で可 |
| 影響 | SAML ID情報改ざんによるなりすまし、権限昇格、機微データ閲覧 |
SAML自体は世界中で使われてる仕組みでしゅよね……ほかの製品も大丈夫なんでしゅか?
XML Signature Wrappingは過去にも各社で何度も繰り返し見つかっている古典問題だな。SAP以外の自社製・自前SAMLサービスも同じ視点で点検する価値はある。
SAP運用部門が直ちに取るべき対応
6月パッチデーはCVE-2026-44748だけでなく、複数の重大脆弱性が同時に修正されました。
パッチ適用とSAML経路の暫定保護を並走させる
恒久対策はSAPが提供する6月パッチデーのSecurity Noteを適用することで、ABAPとJava両方の基盤を漏れなく対象に含める必要があります。
あわせて公表されたCVE-2026-27671(RFC検証のメモリ破損、認証不要・CVSS 9.8)、CVE-2026-40128(Javaコンテナのディレクトリトラバーサル)、CVE-2026-22732(SAP Commerce Cloud/Data HubのSpring Security)も致命度が高く、後回しにできません。
パッチ検証に時間が必要な場合は、SAMLログイン経路へのアクセス元IPを業務範囲に絞り、不要なテナントは一時的にSAML無効化やID連携停止で攻撃面を狭めるのが現実的です。
同時に、SAP監査ログでSAML関連のエラーやアサーション再送の急増を検知できる体制を整えておきましょう。
本パッチサイクルで押さえたい対応は以下のとおりです。
- SAP 2026年6月Security Noteを適用し、CVE-2026-44748・27671・40128・22732を一括で潰す
- SAML SSO経路は社内IPやVPN経由に限定し、外部直結のテナントは一時的に多要素認証で守りを強化する
- 監査ログでSAMLアサーション失敗や同一ユーザの異常なログイン頻度を検知するルールを追加する
- ABAPとJavaの基盤を分けて棚卸しし、SAP_BASISバージョンとSP水準を一覧化して適用漏れを防ぐ
SAPは止めにくいシステムでしゅ……パッチ前にできる暫定策が用意できるのは助かるでしゅ。
そうだな。検証期間中に侵入されないよう「経路を狭める」「監視を上げる」の2点を必ず併走させること。これがSAP運用の鉄則だ。
まとめ:認証基盤こそ最優先のパッチ対象
CVE-2026-44748は、認証済み一般ユーザがSAMLの仕組みを悪用して権限を奪える、SAP基盤として極めて深刻な脆弱性です。
パッチ未適用のままでは、業務システムへの広範な不正アクセスと内部からのデータ持ち出しを許す可能性があり、影響範囲が広いSAP_BASIS構成では迅速な対応が欠かせません。
パッチ適用と並行してSAML経路の暫定保護・監視強化を実施し、CVE-2026-27671などの併走脆弱性も漏れなく潰す姿勢が問われます。
SAP基盤のセキュリティ強化に踏み込みたい方は、ぜひセキュリティフリーランス案件で実環境の改善に挑んでみてください。
参考: Cyber Security News「SAP Security Patch Day June – Critical Vulnerabilities in SAP NetWeaver Patched」 / SecurityOnline「SAP Security Patch Day: Critical Security Vulnerabilities Remediated」