「社内のAI活用でLiteLLMを使っているけど、どんな危険があるの?」 「AIのAPIキーが盗まれたら、何が起きるの?」
ボス、LiteLLMっていうAIの中継ツールに脆弱性が見つかったらしいでしゅ!
Check Point Researchが2件の脆弱性を公表した。権限の低いユーザーでも、管理者に成り上がれる欠陥だ。
そうだ。しかも、その先にはOpenAIやAnthropicのAPIキーが待っている。
LiteLLMは、社内アプリと複数のAIプロバイダーの間に入る「LLMゲートウェイ」として広く使われています。 この記事では、Check Point Researchが明らかにした2件の脆弱性の仕組みと、AI基盤を運用する組織が確認すべき点を整理します。
3行で分かるニュースのポイント
Check Point Researchが、AIゲートウェイ「LiteLLM」の脆弱性CVE-2026-35029とCVE-2026-59823を公表した
認可の不備により、権限の低いユーザーが設定を書き換え、管理者アカウントの乗っ取りやリモートコード実行に至る恐れがあった
別の欠陥では、AIプロバイダーのAPIキーを攻撃者のサーバーへ送らせることができ、いずれもバージョン1.83.9で修正された
読み終えるころには、AIゲートウェイを「ただの中継役」と考えることの危うさが分かるはずです。
目次
LiteLLMで見つかった2件の脆弱性の概要
AI活用の要になる中継ツールで、権限管理の基本が崩れていました。
LLMゲートウェイとは何か
LiteLLMは、OpenAIやAnthropic、Googleなど複数のAIプロバイダーへの接続を1か所にまとめるオープンソースのゲートウェイです。Hackread によると、月間のダウンロード数は約1億回で、GitHubのスター数は5万9000を超えています。 企業がLiteLLMを置く主な理由は以下の通りです。
複数のAIプロバイダーを同じ形式のAPIで呼び出せる
利用者ごとの権限や利用量を一元管理できる
AIプロバイダーのAPIキーをゲートウェイにまとめて保管できる
便利なぶん、ゲートウェイにはAIを使うための鍵がすべて集まることになります。
公表された2件の脆弱性
Check Point Research は、LiteLLMのバージョン1.77.7を分析し、以下の2件を報告しました。
CVE番号 種類 内容 CVE-2026-35029 認可の欠如 権限の低いユーザーが/config/updateで設定を変更できる CVE-2026-59823 SSRF リクエストの送信先を変え、APIキーを攻撃者のサーバーへ送らせる
どちらもLiteLLMのバージョン1.83.9で修正されています。
設定を変えられるだけなら、大したことないように聞こえるでしゅ。
甘いな。設定ひとつで、その先が全部ひっくり返るのだ。
攻撃の仕組みとリスク
権限の低いユーザーからサーバーの乗っ取りまで、道筋がつながっていました。
前方一致の判定が招いた権限昇格
Check Point Researchによると、/config/updateは汎用の認証だけを通し、管理者ロールの確認をしていませんでした。 さらに、管理画面のトークンに許可するURLの判定が前方一致だったため、/configを許可すると/config/updateまで通っていました。 設定を書き換えられた結果、以下の攻撃が可能だったと報告されています。
環境変数を注入し、/get_imageを通じてサーバー内のファイルを読み出す
管理画面のログインに使うユーザー名とパスワードの環境変数を書き換え、既定の管理者アカウントを乗っ取る
Amazon S3やGoogle Cloud Storageに置いたPythonファイルを読み込ませ、任意のコードを実行する
入口は「設定変更の権限チェック漏れ」というひとつの欠陥でした。
APIキーを外部へ流すSSRF
もうひとつのCVE-2026-59823は、「Clientside LLM Credentials」機能に関わる脆弱性です。 Check Point Researchによると、利用者がリクエストで指定できるuser_configの中身が検証されておらず、接続先のapi_baseを任意のURLに変えられました。 この結果、ゲートウェイが保管するAIプロバイダーのAPIキーを、攻撃者のサーバーへ送らせることができました。 APIキーが流出すると、以下の被害につながります。
盗まれたAPIキーでAIを使われ、その利用料金が自社に請求される恐れがある
奪われた設定情報や認証情報を足がかりに、LiteLLMが動くシステムへさらに入り込まれる
Hackreadは、Black Duckの専門家の「攻撃者はOpenAIやAnthropic、Googleを直接侵害する必要がない」という指摘を紹介しています。
AIの会社が守られていても、手前の中継役が破られたら意味ないんでしゅね……。
そういうことだ。鍵の束を預かる場所こそ、いちばん固くしておくべきだな。
まとめ
Check Point Researchは、AIゲートウェイ「LiteLLM」の脆弱性CVE-2026-35029とCVE-2026-59823を公表しました。 権限の低いユーザーによる管理者の乗っ取りやコード実行、AIプロバイダーのAPIキーの流出につながる恐れがあり、どちらもバージョン1.83.9で修正されています。 LiteLLMを使う組織は、バージョンの確認と更新に加え、不正利用が疑われる場合にはAPIキーの再発行も検討しておきたいところです。
AIの鍵を一か所に集めるなら、その金庫の点検を怠るな。
うちのLiteLLMのバージョン、すぐに確かめてきましゅ!
参考:Check Point Research「When LLM Gateways Go Wrong: Findings from LiteLLM」 Hackread「Check Point Reports LiteLLM Flaws Enabling Admin Takeover and API Key Theft」