「無料のAIクレジットや便利なAIツールは、どこまで信用していい?」
「npmで入れたツールが裏で何をしているか分からない」
ボス!ClaudeとGeminiのクレジットを無料でくれるアクセラレーターがあるらしいでしゅ!
それは今まさに報告された詐欺の手口だな。無料クレジットを餌にマルウェアを配っていた。
しかも、AIとのやり取りまで攻撃者のサーバーを通るように細工されていた。
開発者や暗号資産のスタートアップにとって、AIコーディングツールはもはや欠かせない道具です。
この記事では、Elastic Security Labsが報告した偽アクセラレーター「Apex」の手口と、開発者が身を守るために確認したい点を整理します。
3行で分かるニュースのポイント
- Web3向けのベンチャー支援を装った偽アクセラレーター「Apex」が、無料のClaude・Geminiクレジットなどを餌に暗号資産関係者を狙った
- 配布されたnpmパッケージ「@apexacc/cli」「@apexacc/audit」は、WindowsやmacOS向けのマルウェアを送り込んでいた
- AIアシスタントの通信の一部を攻撃者の基盤へ中継し、プロンプトやコード片が見られるおそれがあった
読み終えるころには、AI関連ツールを導入する前に何を疑うべきかがはっきりするはずです。
目次
偽アクセラレーター「Apex」の概要
もっともらしい実績と特典をそろえ、狙った相手が自分から近づいてくるように仕向けていました。
無料のAIクレジットを餌にした誘い
GBHackersによると、攻撃者はWeb3のベンチャーキャピタル系アクセラレーター「Apex」を名乗り、創業者向けの非公開ワークスペース「Apex Arena」を中心に据えていました。
サイトでは200を超える支援先と1億2,400万ドル超の資金調達実績をうたっていたといいます。
提示していた特典は以下の通りです。
- ClaudeとGeminiの無料クレジット
- AIコーディングツール
- スマートコントラクトのセキュリティ監査
- 投資へのアクセス
Elastic Security Labsはこの活動をREF8801として追跡しています。
実績も特典もそろってたら、本物だと思っちゃいましゅ……。
偽のレビューや会議への登壇歴まで用意していたそうだ。見た目で判断させるための舞台装置だな。
配布された悪性npmパッケージ
Elasticが確認したのは、AIコーディングアシスタントとMCPベースのWeb3監査ツールをうたう2つのnpmパッケージでした。
それぞれの特徴は以下の通りです。
| パッケージ | うたっていた機能 | 実際の動き |
|---|
| @apexacc/cli | AIコーディングアシスタント | 正規のオープンソースのコーディングエージェントを再パッケージ化し、裏で実行ファイルを取得 |
| @apexacc/audit | Web3のセキュリティ監査 | 固定またはランダムな監査結果を返しつつ、実行ファイルを取得 |
どちらも実行時にOSごとの実行ファイルをダウンロードし、攻撃者の基盤と通信して遠隔で選ばれたコマンドを実行していました。
AIツールを悪用した攻撃の仕組みとリスク
ツールとして一応は動くため、使っている側は異変に気づきにくい作りでした。
WindowsとmacOSに送り込まれたマルウェア
報告によると、OSごとに異なるマルウェアが送り込まれていました。
主な挙動は以下の通りです。
- Windows:PowerShellやVBScriptを使った多段階の情報窃取型マルウェア。システム情報やブラウザの保存情報、ウォレット関連データなどを収集し、Telegram経由でデータを持ち出す
- macOS:Rust製の検証ツールがバックドア「CloudSyncD」を展開。偽のパスワード入力画面を表示し、端末情報を集めて遠隔からの指示を受ける
暗号資産のウォレットや署名鍵、クラウドの認証情報、ソースコードを持つ相手を狙った構成です。
偽のパスワード画面まで出すなんて、ひどいでしゅ……。
本物そっくりの確認画面ほど、人は疑わずに打ち込む。そこを突いている。
AIとの通信を中継されるリスク
今回の特徴は、AIアシスタントの通信そのものが狙われた点です。
改変されたクライアントは、OpenRouterの表示が付いたモデルへの通信を攻撃者の基盤経由に切り替え、攻撃者が管理するMCPサーバーを常に登録していたと報告されています。
これにより、プロンプトや会話履歴、コード片、ツールの出力が攻撃者に見られ、その後のツールの使い方に影響を与えられるおそれがありました。
開発者が確認したい点は以下の通りです。
- 無料クレジットや口コミだけを理由に、AIツールやセキュリティツールを入れない
- npmパッケージの発行元とダウンロード実績、ソースの中身を確認する
- AIクライアントに登録されたMCPサーバーと通信先を定期的に見直す
- 該当パッケージを実行した場合は、認証情報やAPIキー、ウォレットの秘密情報を変更する
AIに渡したコードやプロンプトにも機密が含まれることを前提に、通信先を管理することが大切です。
まとめ
偽アクセラレーター「Apex」は、無料のClaude・Geminiクレジットなどを餌に暗号資産関係者を誘い、悪性npmパッケージでWindowsとmacOSにマルウェアを送り込んでいました。
さらにAIアシスタントの通信を攻撃者の基盤へ中継し、プロンプトやコードが見られるおそれがありました。
AIツールの導入では、特典の魅力よりも発行元と通信先の確認を優先することが求められます。
インストール済みのMCPサーバー、今すぐ一覧を出して確認しましゅ!
参考:
GBHackers「Fake Web3 Accelerator Offers Claude and Gemini Credits to Spread Malware」
Cyber Security News「Fake Web3 Accelerator Uses Malicious npm Packages to Target Crypto Founders」