「最近の不正アクセス、本当にAIが使われているの?」
「スマホアプリを出しているだけの会社も狙われるの?」
ボス、相次いでいる不正アクセスにAIが使われていたって本当でしゅか?
JPCERT/CCが攻撃者側のサーバーを調べて、AIでスキャンやAPI攻撃をしていた痕跡を確認した。
AIが勝手に攻撃してくるなんて、怖すぎるでしゅ……。
怖がる前に、何をされたのかを知ることだ。手口が分かれば守り方も見えてくる。
2026年9月ごろから、国内の企業で個人情報の漏えいが相次いでいます。
JPCERT/CCは10月15日、一連の事案に関連する攻撃インフラを調べた結果を公開しました。
この記事では、調査で分かったことと、Webサービスやスマホアプリを持つ企業が見直すべき点を整理します。
3行で分かるニュースのポイント
- JPCERT/CCが攻撃元とみられるサーバーを調べ、攻撃者がAIで既知の脆弱性のスキャンやAPI経由の攻撃をしていたと確認した
- サーバーにはAndroidアプリやFlutterアプリの解析ツールが残り、アプリからAPIを割り出してSSRFを試していた
- セキュリティベンダーのScutumも、10月10日夜から14日にかけて国内サイトへのAIエージェントによる攻撃を観測した
自社のアプリやAPIが同じ手順で狙われたとき、どこを先に固めればよいかが分かります。
目次
JPCERT/CCによる攻撃インフラ調査の概要
注意喚起から1週間で、攻撃者側のサーバーの中身が明らかになりました。
10月8日の注意喚起から攻撃サーバーの調査へ
JPCERT/CCは10月8日、国内で相次ぐ不正アクセスによる個人情報漏えいについて注意喚起を出していました。
その後、複数の組織と連携して攻撃インフラを調べ、10月15日にJPCERT/CC Eyesで結果を公開しています。
ブログでは、攻撃者がAIを利用して既知の脆弱性のスキャンやAPI経由の攻撃を実施していたことを確認したと述べています。
調査の主な流れは以下の通りです。
- 10月8日:国内で相次ぐ不正アクセスについて注意喚起を公表
- その後:複数の組織と連携して攻撃インフラを調査
- 10月15日:調査したサーバー3台の分析結果を公開
ANNの報道によると、攻撃の対象は国内のサービスにとどまらず、海外のWebサービスにも及んでいました。
JPCERT/CCは、攻撃元のIPアドレスについて情報提供を呼びかけています。
そうだ。そこに残っていた道具が、攻撃の手順をそのまま物語っていた。
3台のサーバーに残っていた痕跡
調査対象のサーバーは3台で、それぞれ性格が違っていました。
ブログに書かれた特徴は以下の通りです。
| サーバー | 主な痕跡 |
|---|
| 1台目 | AndroidのAPKファイルを解析して特定のAPIを割り出し、SSRFを確かめるPythonスクリプトがあった |
| 2台目 | 複数のAPKファイルと、jadxやBlutterといった解析ツールが置かれていた |
| 3台目 | 今回の攻撃とは直接関係しない別のサーバーで、MySQLやJenkins、メールゲートウェイを狙う手法やEDR回避を試みた痕跡、Webシェルがあった |
Blutterは、Flutterで作られたアプリのコンパイル済みコードを解析するツールです。
1台目と2台目の痕跡から、攻撃者は公開されているスマホアプリを分解し、裏で呼んでいるAPIを見つけてから攻撃していたと読み取れます。
AIを使った攻撃の仕組みとリスク
既知の脆弱性のスキャンやAPI経由の攻撃に、AIが使われていました。
アプリを分解してAPIを狙う手順
JPCERT/CCのブログから読み取れる攻撃の流れは、以下のように整理できます。
- 公開されているAndroidアプリやFlutterアプリを入手する
- jadxやBlutterで解析し、アプリが呼び出すAPIや埋め込まれた情報を探す
- 見つけたAPIに対して、SSRFなどの脆弱性があるかを試す
アプリの中にAPIキーや長く有効な認証情報が埋め込まれていると、この手順で抜き取られる恐れがあります。
JPCERT/CCは対策として、秘密情報をアプリに埋め込まないこと、サーバー側で認証と認可を確実に行うことを挙げています。
あわせて、APIのレート制限と異常な利用の監視、SSRF対策としてアクセス先の制限とリダイレクトの検証を求めています。
アプリの中身まで見られるなんて知らなかったでしゅ!
アプリは配った時点で相手の手元にある。中に鍵を入れておけば、鍵を配っているのと同じだ。
WAFベンダーも観測したAIエージェントの攻撃
WAFサービスを提供するScutumも、10月14日にAIエージェントによる攻撃について注意喚起を出しています。
同社は10月10日夜から14日にかけて、3つのIPアドレスから国内のWebサイトへの攻撃を観測しました。
観測された内容は以下の通りです。
| IPアドレス | 観測した内容 |
|---|
| 1つ目 | 約1000件のリクエスト、1フェーズ |
| 2つ目 | 合計約1440件、第3波で毎分約44件、5フェーズ |
| 3つ目 | 合計約1万2400件、最高で毎秒約35件、10フェーズ、ログイン画面へのアクセスとログイン試行が計約250件 |
攻撃ではcurlやffuf、Nmap、ヘッドレスブラウザなどの道具を切り替えながら使っていました。
Scutumは、従来の単純な連続リクエストとは異なる流れが見られたとしています。
同社が挙げる対策は、脆弱性のない状態にすることと、シグネチャだけに頼らないWAFを導入することです。
まとめ
JPCERT/CCは、国内で相次ぐ不正アクセスに関連するサーバー3台を調べ、攻撃者がAIで既知の脆弱性のスキャンやAPI攻撃をしていたと確認しました。
攻撃者はスマホアプリを分解してAPIを割り出し、SSRFなどを試していました。
アプリに秘密情報を埋め込まず、サーバー側の認証と認可、APIの監視を固めることが求められます。
AIが攻撃を速くしても、穴がなければ入れない。基本の守りを今すぐ点検しろ。
うちのアプリにAPIキーが入っていないか、開発チームに聞いてみるでしゅ!
参考:
JPCERT/CC Eyes「連続不正アクセス事案の攻撃手法に関する調査」
JPCERT/CC「国内で相次ぐ不正アクセスに対する注意喚起」
Scutum「AIエージェントによるウェブサイトへの攻撃の注意喚起」
ANN(Yahoo!ニュース)「相次ぐ不正アクセス事案はAI利用で攻撃 情報セキュリティーの民間団体が確認」