「サイバー保険に入っているから安心と思っていたけど、それが逆に狙われる理由になるの?」
「ランサムウェアの身代金って、どうやって金額が決まるんだろう…」
ボス!
ランサムウェアの攻撃者が、被害企業のサイバー保険の金額を調べてから身代金を決めてるって聞いたでしゅ!
保険に入ってると逆に危ないんでしゅか!?
「払える額」を知った上で要求してくるということだ。
保険があるから安心、ではなく、保険があるから狙われる。
攻撃者のビジネスモデルは、ここまで進化している。
RSAC 2026で、Illumioのチーフエバンジェリスト Jennifer Kirkbridge氏が、ランサムウェア攻撃者がサイバー保険情報を要求額の設定に活用している実態を発表しました。
保険加入企業への身代金要求額は平均2.8倍に跳ね上がるというデータも示されています。
- 攻撃者はデータ侵害時に保険契約情報を探し出し、要求額の設定に利用している
- 保険加入企業への身代金要求額は、未加入企業の平均2.8倍
- 保険の有無に関わらず、セキュリティ対策の実装が被害額を左右する
サイバー保険との正しい付き合い方を考えるために、攻撃者の手口を詳しく見ていきましょう。
目次
攻撃者はどうやって保険情報を手に入れるのか
ランサムウェア攻撃者は、暗号化の前に企業のファイルサーバーを徹底的に物色します。
侵入後に保険契約書を探索する手口
攻撃者がネットワークに侵入してから暗号化を開始するまでの間に、企業のファイルサーバーや経営層のメールボックスを漁るのは今や常套手段です。
その過程で、サイバー保険の契約書や保険証券が見つかれば、補償上限額がそのまま「交渉の基準値」になります。
- ファイルサーバー上の保険契約書PDF・保険証券の探索
- 経営層のメールから保険会社とのやり取りを抽出
- 社内共有フォルダのリスク管理資料から補償上限額を特定
たとえば「1,000万ドルの保険に加入している」と判明すれば、攻撃者は1,000万ドルに近い要求額を設定します。
保険があるから払えるはずだ、という計算です。
保険の契約書って、普通にファイルサーバーに置いてありそうでしゅ…。
うちの会社もそうだった気が…。
保険契約情報は機密扱いにするべきだ。
アクセス権を経営層と法務に限定し、暗号化して保管する。
攻撃者に「いくら払えるか」を教えてはならない。
保険に頼りすぎないセキュリティ体制の構築
サイバー保険はあくまで「最後の砦」であり、セキュリティ対策の代替にはなりません。
保険加入企業が見直すべきポイント
Kirkbridge氏は、セキュリティポリシーを適切に実装できていない企業が攻撃を受けた場合、要求額が2倍以上に跳ね上がると指摘しました。
逆にいえば、しっかりとした対策を講じていれば、被害を受けても交渉力が維持できるということです。
- 保険契約書・証券のアクセス権を経営層・法務のみに制限し、暗号化して保管する
- 保険の補償条件で求められるセキュリティ要件(MFA、EDR、バックアップなど)を確実に満たす
- インシデント対応計画を保険会社と事前にすり合わせ、復旧の初動を迅速化する
- 身代金支払い以外の復旧手段(バックアップからの復旧)を優先する体制を整える
保険は「入って終わり」ではありません。
補償条件に定められたセキュリティ対策を満たすことが、保険金支払いの前提条件になっている点にも注意が必要です。
保険があるから安心、じゃなくて、保険を使うためにも対策が必要ってことでしゅね。
保険契約書の保管場所、すぐ確認するでしゅ!
そうだ。保険は盾ではなく保険にすぎない。
盾はあくまで日々のセキュリティ対策だ。
その順番を間違えるな。
まとめ
ランサムウェア攻撃者が保険情報を活用して要求額を吊り上げるという実態は、サイバー保険への過度な依存に警鐘を鳴らしています。
保険契約情報のアクセス管理、セキュリティポリシーの確実な実装、バックアップによる自力復旧体制の整備が欠かせません。
保険加入の有無に関わらず、「攻撃者に付け入る隙を与えない」体制づくりを優先してください。