富士電機V-SFTの脆弱性(CVSS 7.8)から学ぶ産業用ソフトのセキュリティ対策

登場人物紹介

チップス
どんぐり大学卒、一般企業の情報システム部で働く若手エンジニア。
入社1〜3年目らしい悩みを抱えつつ、日々の運用やセキュリティ対応に奮闘中。慌てんぼうだが素直で吸収力が高く、ボスに鍛えられながら着実に成長している。

ボス
セキュリティ、インフラ、運用の修羅場をくぐってきた歴戦のエンジニア。サイバーセキュリティラボの所長でボスと呼ばれている。
現場視点と経営視点の両方から、本当に使えるセキュリティとキャリア戦略を叩き込む。口は悪いが面倒見はよく、若手育成と実践的な情報発信に力を注いでいる。

「産業用ソフトウェアにも脆弱性があるなんて、製造現場のセキュリティは大丈夫?」
「細工されたファイルを開くだけで任意コード実行されるって、どういう仕組みなの…?」

チップス

ボス!富士電機のV-SFTっていう産業用ソフトに脆弱性が5件も見つかったらしいでしゅ!CVSS 7.8って結構高いでしゅよね!?

ボス

V-SFTは富士電機のタッチパネル(HMI)の画面設計に使うソフトだ。製造業の現場で広く使われている。細工されたファイルを開くだけでコードを実行される脆弱性だから、メール添付やファイル共有経由での攻撃に注意が必要だな。

製造業のOT環境でも、ソフトウェアの脆弱性管理は欠かせません。
この記事では、V-SFTの脆弱性の技術的な仕組みと、製造現場を守るための対策を解説します。

  • V-SFT ver 6.2.10.0以前に5件の脆弱性、バッファオーバーフローと境界外読み取りが中心
  • 細工されたV7形式ファイルを開くだけで情報漏洩や任意コード実行の恐れ
  • Ver.6.2.11.0以降へのアップデートで修正済み

V-SFTを利用している製造業の方は、バージョン確認をすぐに実施してください。

目次

V-SFT 5件の脆弱性の概要

2026年4月1日、JVNはJVNVU#90448293として富士電機V-SFTの脆弱性情報を公開しました。
5件すべてがCVSS v3.1で7.8、v4.0で8.4と高い深刻度です。

発見された脆弱性の詳細

影響を受けるバージョンと脆弱性の内容は以下の通りです。

CVE番号脆弱性の種類影響を受ける関数
CVE-2026-32925スタックベースのバッファオーバーフローCV7BaseMap::WriteV7DataToRom
CVE-2026-32926境界外読み取りload_link_inf
CVE-2026-32927境界外読み取りset_temp_type_default
CVE-2026-32928スタックベースのバッファオーバーフローCSaveData::_conv_AnimationItem
CVE-2026-32929境界外読み取りget_macro_mem_COM

すべての脆弱性は、細工されたV7形式ファイルをV-SFTで開くことで発生します。
ユーザーの操作(ファイルを開く)が攻撃の起点となるため、ソーシャルエンジニアリングと組み合わせた攻撃が想定されます。

製造現場を狙う攻撃の仕組みとリスク

産業用ソフトウェアの脆弱性は、IT環境だけでなくOT(制御システム)環境にも影響を及ぼします。

バッファオーバーフローによる攻撃の流れ

バッファオーバーフローとは、プログラムが確保したメモリ領域を超えてデータが書き込まれるバグです。
攻撃者はこの仕組みを悪用して、プログラムの実行フローを乗っ取ります。

具体的な攻撃シナリオとして、以下の流れが想定されます。

  • 攻撃者がV7形式のプロジェクトファイルに悪意あるデータを埋め込む
  • メール添付やファイル共有サーバー経由でファイルを送り付ける
  • エンジニアがV-SFTでファイルを開くと、バッファオーバーフローが発生
  • 攻撃者のコードが端末上で実行され、制御システムのネットワークへ侵入する足がかりに

製造業では設計ファイルのやり取りが日常的に行われるため、不審なファイルと正規のファイルを見分けにくい環境にあります。
IT部門とOT部門が連携して、ファイル受け渡しのルールを明確にしておくことが大切です。

チップス

製造現場の端末って、ネットに繋がってないから安全って思ってたでしゅけど……USBとかファイル共有経由で入ってくるんでしゅね……

ボス

エアギャップ(物理的なネットワーク分離)があっても、ファイルの持ち込みは防げない。産業用ソフトもIT製品と同様に脆弱性管理の対象にすべきだ。

まとめ

富士電機V-SFTの脆弱性は、製造業の現場で日常的に使われるツールが攻撃対象になりうることを示しています。
Ver.6.2.11.0以降へのアップデートが根本対策です。

対応として以下を推奨します。

  • V-SFTのバージョンを確認し、6.2.10.0以前であれば6.2.11.0以降にアップデート
  • 出所不明のV7ファイルを開かないルールを現場に周知
  • OT環境の端末にもウイルス対策ソフトを導入し、定義ファイルを最新に保つ

詳細はJVN JVNVU#90448293で確認できます。

ボス

IT部門だけでなく、製造現場のエンジニアにもセキュリティ意識を持ってもらう。それが産業セキュリティの第一歩だ。

チップス

OTセキュリティ、もっと勉強するでしゅ!ボス、教えてくださいでしゅ!

OTセキュリティや産業制御システムの知見を活かしたい方へ。
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この記事を書いた人

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